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「お、俺...そう言う誰でもイイって感じの奴...大嫌いなんだ!」 裕太を跳ね除け、何とか立ち上がるとフラフラした足取りのままドアノブに手をかけた。 「...そういうことだから、じゃあ...」 周りの部屋に迷惑をかけない様に、ゆっくりとドアを開けた瞬間。 バタンッ!と大きな音を立てて、彼はドアに手を付いた。 俺の配慮は見事無駄になったと言う訳だ。 テレビの明かりが裕太の顔をうっすらと照らす。 その顔を見た途端、足に力が入らなくなった。 「...誰でもイイ?俺がいつそんなことを言った?」 顔が、近い。 吐息が触れる。 甘い香りがして、頭がクラッとした。 「...っ、一人称変わり過ぎ」 「...まあ、変わって当然だよ。俺は演技をしていたんだから」 演技...? 「そんなポカーンとして...可愛いね」 「可愛いって言うな!つーか、さっきから意味がわかんねーんだよ!演技してた理由くらい喋りやがれ」 「...好きだから」 ..........は? 「咲夜が好きだから、演技をしたんだ。誰でも良かった訳じゃない、誰でも良かったら必死にならない」 必死...。 この男が、必死。 いつも寝ることと食べることにしか興味を示さない彼が。 たまにギターを弾いて、作曲にしか頭を悩ませない彼が 必死。 少なくとも俺の目には、必死に写らなかったけど本人が言うのならそうなのだろう。 「...これでも苦労したんだ。咲夜はノンケだから、どうやって俺のことを好きにさせようか、ってね。最初は俺のことを知らなかったみたいだし、強烈なインパクトを与える必要があった。わざと素っ気ない態度を取って気にさせた。そして、その人の良さから絶対に御礼をしに来ると思っていたんだ」 最初から、計算されていた。と言うことか...? 「こんなこと言って大丈夫なのかよ。もしかしたら俺は御前を嫌いになるかもしれないんだぜ?」
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