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「いや、それは絶対にないね」 「なんだよ...その自信」 「普通人間と言う者は、好意を寄せている対象を目で追う習性がある。その反対で、嫌いな人間は背景程度にしか認識されないらしい。もし嫌いになったのなら、君は俺を視界にすらいれないよ」 その場に座り込んだ俺の前で、彼も胡座をかいた。 「しかも.....本気出せばブッ飛ばせるのに、持ってる力の半分も出てない」 「俺は、全力を出して御前を押し返してるけど!?」 ムキになって口にすると、彼が目を細めて笑った。 「...じゃあ、無意識のうちに弱めてくれてるんだね。ありがとう」 「!...」 その笑顔は、反則。 無邪気な顔して笑うのを見て、どうして俺の心臓は破裂しそうな程苦しくなるんだ。 どうして目の前にいる男が、こんなにカッコ良く見えるんだ。 「...裕太」 「ん?」 「御前、俺のどこを好きになったの」 俺の両肩をドアに押し付け、額に口付けを落とす。 「...全部」 「嘘くせーよ」 「んー...俺、好きなタイプ聞かれた時に人妻って言ったよね?それ」 ...............あ? なんだこいつ、喧嘩売ってんのか!! 「人妻じゃねーけど」 「彼女持ちだったし、人妻でしょ。一目見た時から淫乱そうだなーって」 最低のカス野郎じゃないですか! 失礼にも程があるわ! なんだか非常に情けなくなって、目に涙を溜めていると目の前の彼は妖しい笑みを浮かべた。 「...その泣きそうな顔、すごい興奮する」 「うわああん、やだー!裕太のイジワルー!バカー!キノコー!」 「わかったから静かにして...」 案外壁の薄い部屋だから、きっと俺の声で何人かの寮生が起きたことだろう。 人差し指を唇に押し当ててきたかと思うと、性的に興奮したらしい裕太が目をギラリと光らせて再び深く口付けをしてきた。 「は、んぅ...っ」 あれ...? なんか前にもこんなキスをした気がする。 窒息するんじゃないかって思う位、そのキスに飲み込まれて...めちゃくちゃ気持ち良くなった気が...
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