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大学に着くなり、携帯を見た裕太は何故か駐車場へと行ってしまう。 ちょっとだけ待っててね、と口にした彼が駐車場へ向かう意味を考えたが俺にはさっぱり分からなかった。 年上のお姉さんでも待たせている、とか? いや......ねーな。 物陰から少しだけ身を乗り出し、裕太の背中を見詰めていると高そうな車の前で立ち止まって中の人と話し込んでいる。 それに加え、何やら紙らしき物を受け取っていた。 終いには、バイバーイと手を振って見送り、小走りで戻って来たかと思うと大袈裟な程息を切らして見せる。 何なんだよ、こいつ。 かっこわりぃ。 「は...死ぬ...」 「この距離を軽く走っただけだろうが」 「咲夜が、キスしてくれないと死ぬ...」 「じゃあシネ」 「うるせー、御前がシネ」 こいつ俺のこと好きなんじゃないの!? 俺は握り込んだ拳を抑え満面の笑みを浮かべると、息を切らしていた彼はけろっといつもの無表情に戻りスタスタと歩き出す。 この時俺は思った、絶対こいつとは分かり合えない、と。 「はい、大和」 講義終了後、大和の隣りに座っていた裕太が先程渡されたらしい紙を手渡していた。 真っ白な封筒。 怪しい。 「何これ」 「さあ、果たし状じゃない?」 果たし状、か。 こいつ大和を危険な目に合わせたらただじゃおかねーぞ。 机に突っ伏して目を閉じた俺は、そこで大きな欠伸をする。 怠い。 身体が疼いて、熱い。 「...咲夜?」 大和に突然名前を呼ばれて、ギュッと肩を掴まれただけなのに身体が驚く程反応した。 「ひゃっ...な、なんだよ。変な声出ちまったじゃねえか!」 変だ...俺の身体が、変ーーー。 「どうした?気分でも悪いのか。いーっつも首とか露出してんのに、今日はシャツの第一ボタンまでかけて。あ、わかった風邪だろ。通りで顔が赤いと...」 マズイ。 「大和君!ゆ、ゆゆゆ裕太君!そろそろ帰ろうではないか!」 そんな俺の反応を見て、大和の後ろにいた裕太は可笑しそうに笑った。
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