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悔しいけど、笑った顔が可愛い。
...ちょっとだけだけど。
「いや、今日も研究室掃除しに行くから...悪いけど先帰ってて。峯くん、咲夜調子悪そうだし暇だったら...付きっきりで看病してあげて!」
つ、付きっきり...!?
大和は俺がこいつに何されてるか知らないからそんなことが言えるんだ!
今度こそ俺の初めてが奪われるうううう。
助けて大和さーんっ!
とまあ、俺の叫びも彼には届かず泣く泣くお別れをすることとなった。
何が楽しくて佐伯教授の部屋を毎日掃除しているのやら。
物好きなのかな。
「あれだけ大和に気を遣わせるな、御前みたいな奴が案外分かりやすいんだぞって言ってた割には、咲夜が一番動揺してたよ」
「ほっとけ」
鞄の中にノートを押し込み立ち上がると、裕太も立ち上がって背伸びをした。
「ふぁ...あ、今日の講義もなかなか面白かったね」
本当にそんなこと思ってんのか。
欠伸しながら言う台詞じゃねー。
帰り際に二人仲良くトイレへ寄った訳だが、小便器に立ち向かいベルトに手を掛けた瞬間...奥の個室へと引き摺り込まれた。
こんなヒョロヒョロのくせして、案外力は強かった。
「な、んだよ...」
「...ムラムラしてきた」
「してこない!」
ガチャリ、と金属音が響き背中に嫌な汗をかく。
シャツの第一ボタンに指を滑らせ、慣れた手つきで素早く外していくこの男の姿は肉食動物そのもの。
いつもは日向ぼっこをして周りから可愛い可愛いと言われている草食動物だが、こいつはどうやら皮を被っていたらしい。
動物で例えるのは難しいから...ロールキャベツみたいなものだと思えばいいのではなかろうか。
「...咲夜、好きだよ」
「いっ...!」
何度目だろう。
甘い言葉を囁きながら、首筋に歯を立てられたのは。
熱く火照り、疼いた身体を優しく撫で回した彼は自分の唇で包み込む様に優しくキスをした。
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