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優しいぃいいいい。 好き。 「ううう...」 「おー、よしよし。君は、本当に可愛いねぇ...」 俺の肩を優しく掴み、ぎゅうっと抱き締めた彼は愛玩動物を愛でるかの如く優しい視線を送ってくる。 そんな姿を見て、裕太が腹を立てないわけがなかった。 「...触んなよ」 「うるせー!元はと言えば御前が元凶だろうが!なーにが、ムラムラしてきたっ★だ、ふざけんな!」 眠そうに欠伸をして正座から胡座に変えた裕太は、壁に凭れ掛かり目を閉じる。 本当ムカつくよ、こいつ。 「欲望には誠実なんだよ...佐伯教授と一緒で」 「一緒にするな、ケダモノめ。姫神教授...こいつがとんだ失礼を致しましたことは私が謝罪します。申し訳ございませんでした」 「いやいや、とんでもない。よっぽど深瀬のことが好きなんだね」 俺をソファーに座らせた姫神先生が、裕太の前でしゃがみ込む。 「...はい。好き過ぎて、頭の中はこいつのことばっかりです」 「そうか、それは素晴らしいことだね。でもその愛情が歪まない様に...君は大変危ない場所を渡っているよ、気を付けなさい」 去り際に、佐伯教授へ「会議はサボるなよ」と釘を刺した彼は颯爽と部屋を出て行ってしまった。 そこで深いため息を吐いた佐伯教授。 「出てけ...仕事の邪魔になる」 あっ、怖い。 「や...大和はいいんですか!!」 って何やってんだ、俺。 この発言は虎の檻に全裸で肉を持ってく様なもんだぞ。 「......余計な詮索はするな。帰れ」 ビクビクしながら無気力な裕太を引っ張り出す。 そのまま寮に帰ったら、当然の様に俺の部屋へと転がりこんで来たもんだから、ついには怒りも爆発した。 「御前さ...何なの。何も考えてないですって顔して、今度は何を企んでんだよ」 「......」 「っ...俺が好き?こっちの気持ちも聞かないで、御前が無理矢理セックスを強要すんの...正直マジで意味わかんねー。御前と絡んでからろくな事がない」 「じゃあさ...あんたの気持ち、今聞かせて」
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