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「父親も、義母も俺のことには無関心で弟のことばかりだったんだ。だから...俺は従兄弟である兄さん達にベッタリだった。頭が良くて、優しくてカッコイイ自慢の兄さん達は、どんなことがあっても弟にだけは渡してやらないって考えてた時もあったんだよ」
そうか。このことだったんだ。
前にボソリと呟いた言葉の意味を、改めて理解する。
「でも上の兄さんは、少ししたら海外留学しちゃってね。俺は下の兄さんから勉強とか、女の子の口説き方とか教えて貰ってた。まあ...そいつは口が悪かったせいか、どんな女の子とも長続きしなかったけど」
「...裕太」
こんなことを言っても、平気だろうか。
変に思われたり...しないだろうか。
思わず手が震え唇を噛むと、目の前の彼は僅かに首を傾げた。
「なに...?」
「あのさ...」
ヤバイ。
緊張してきた。
「...何を言おうとしてんのか、気になるじゃん...」
ゆっくりと唇を合わせて、歯をこじ開ける。
鼻から息が溢れ、苦しかったが抵抗する気はなかった。
「っ...ゆ、た...の気が済むなら...独占して...」
はぁはぁ、と荒い呼吸を繰り返しベッドの上で身体を震わせていると、裕太が熱っぽく潤んだ目を細めた。
「...エロ過ぎ」
本当は、こんな言葉を喋るつもりなんて更々なかったんだ。
それなのにどうしても言いたくなってしまった。
感情、本性がなかなか見えない男の心境は酷く寂しいものだったからなのか。
同情に近いが、それもまた違うのだろう。
自分のことも、よく分からなくなってきた。
「好きだよ...咲夜。誰にも渡さない、俺だけのモノ...」
今度は彼の荒々しいキスで、堕ちるところまで堕ちていったーーー。
翌朝、怠い身体を起こして背伸びをした俺は寒さに身体を震わせる。
上半身に何も身につけていなかった為、直様布団の中に逆戻りした。
「うう...寒、出れない...」
人間暖房の如く体温の高い裕太に身を擦り寄せ、二度寝を試みると今度は彼が目を覚ます。
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