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ーーーーーーー ーーーーーーーーー 「ん...んー...」 なんだか、とても長いこと眠っていた様な気がする。 未だ腕の中で眠る裕太の寝顔を見詰めながら、俺は大きな欠伸をした。 それにしても、懐かしいことを思い出していた。 姫神先生...今頃何してんのかな。 彼女出来たかな...いや、もしかしたら犬とか飼い始めたかもしれない。 ゆるふわのパーマをかけていた裕太の髪の毛は、今ではサラッサラのストレートになっている。 そうだよな...あれから一年が経とうとしてるから変わるのは当たり前だ。 実際俺だってゴールデンレトリバーみたいだって言われたから、毛先に青を入れたわけだし...。 裕太の唇を指先でなぞり遊んでいると、彼がうっすらと目を開けた。 「...咲夜」 なんだそのエロい声。 同い年の男なのに、何故こうも色気ムンムンなのか。 チラリと覗く儚げな鎖骨と胸板が大変いやらしく写り、枕に顔を埋めた。 「懐かしいこと...思い出してた」 「ん...?」 「裕太と俺が初めて出会ったこととか、姫神先生のこととか」 「ああ」 うつ伏せな俺に覆い被さった裕太が、項に口付け歯を立てる。 こいつの噛みぐせは一向に良くならないな...流石に痛みにも慣れてきた。 「...あのさ、姫神先生が最後に言ってただろ?世の中にはどうしても欲しい物を手に入れたい奴がいる、って。そこは分かるんだ...でもさ真実を知っても怒らないでねってどういうこと?」 「...そんなこと言ってたっけ」 「とぼけんなよ、御前が記憶力いいこと知ってるもん!」 レポートの提出はいっつもギリギリだし、馬鹿そうに見えるけど正直かなり頭がいいと俺は見ている。 「あー...もういっか。本当のこと教えても」 「なんそれ」 「咲夜は俺無しじゃ生てけないし...他の奴とのセックスじゃ足りないだろうしな」 ブッ飛ばすぞ。 「あのね、咲夜。俺は君の彼女に手を出したんだ」
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