第1章

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 でも、彼は上品だったからそう思うのだけれど、多分あたたかであろう家庭で育っているのに、どこか孤独を抱えている人なんだろうとも私は気づく。 そうでなければ彼は今、私の目の前にはいなかっただろう…あんな…あんなことがなかったと思うから… まあ、問題のない家庭なんて少ないと思うし、私だって今ここにいるのはどうして? ということになる。 「メールする時間も結構悩んだよ。」 何気ない言葉だったけれど… 「カオリさんの…生活時間、全くわからないし。」 ちょっといい気分になっ…たのも束つかの間、改めて二人の関係の不自然さ、伏せていることの多さに気づかされる。 逆に伏せていないのは、もっともプライベートな部分かもしれない。奇妙なことに。  でもそれすらも…
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