第1章

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 とはいうものの、私はどぎまぎしてしまい、いいえ、どういたしまして、と答えるのがやっとだった。  彼は私の前に腰掛けるなり、 「お腹、空いてません? 」 確かにそういう時間帯ではあったので、私も、 「空いてるけど…」 「僕、このナポリタンのセットが気になんですよね。」 などと、小さなメニュー表を見ながら言う彼が何とも可愛らしく、私は思わず笑ってしまった。 「いいえ…」 可愛い、は言えば気まずくなる気がしてやめた。 「じゃあ私もナポリタンにするわ。」 ほんわかした雰囲気にしてくれて良かった… 私は彼とナポリタンに感謝したい気持ちだった。  それにしても…向かい合うと照れてしまう。
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