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……チャンスだ。
凪人は隙を見て、カイチに殴りかかった。カイチが避けた拍子に腕を取り、手首にひじ打ちをする。
「うぁっ」
フローリングに転がったナイフを取ろうとしゃがみこんだところで、タイヘイが凪人の腹部を蹴り上げた。衝撃に耐え、凪人はナイフを持って起き上がった。
「ほら、逃げねぇと捕まるぜ」
タイヘイは舌打ちをすると、「エンジンかけとくわ」と言って部屋から出て行った。
すっかり笑顔を失くした愛夢は、大きな瞳で凪人を見つめた。
「あんたに人を刺す度胸なんかないっしょ」
愛夢はゆらりと腕を上げた。ナイフを持った凪人の手を掴み、自分の胸にナイフの先を向けさせた。
「ほらっ、刺してみろよ! 刺せよ! やる気ねぇのに人脅してんじゃねぇよ!!」
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