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修理工場の片隅で、剥がしたスピッツバード世界大会のポスターを眺めながら、ハルは腕組みして考え込んでいた。
優勝者には二〇〇ビベルが賞金として与えられる。
ハル自身モーターバードの操縦は得意なものの一つで、これ以上のチャンスは無い。
けれど、それには大きな問題があった。
「参加資格。十六歳以上……か」
ハルは十三歳。考えたところで三つも年齢に達していないということになる。
(ここで諦めたら、じいちゃんの工場も、全部なくなってしまう。一か八かやってみるしかないか……!)
ハルは工場の隅にからロープで吊るされているものに目をやる。
そっと掛けられていた巨大な薄汚れた布を剥がすと、真っ白に輝く機体が現れた。
「やあ、エアリエル。君の力が必要なんだ」
翼を閉じたままの白いモーターバードは、まるで白く輝くツバメそっくりの姿だ。
ハルは愛おしそうに彼女の身体にそっと触れる。
亡くなった祖父がハルの為に作り上げた最高傑作の機体である。
「君と僕とで、じいちゃんの工場を守るんだ」
ハルはぎゅっと拳を握り、一世一代の大勝負に臨むことを強く決心したのだ。
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