第六部

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「岬・・・そんな・・・そんな考え方はしちゃダメだ。そんなに思い詰めちゃダメだ」 「いいや思い詰めるさ。そこまで思い詰めないから、考え詰めないから、そこまで考え詰めないヤツが、安易に人を傷付けるんじゃないか。ぼくのように!なんの覚悟も理解もないような連中にヘラヘラと傷付けられ、傷を負わされていくヤツが、いつまでたっても誰にも救われないでいるんじゃないか!」 「・・・・・・」 「そうだ。他人を傷付けるヤツは、同じように傷付けられると『理解』をしておくべきなんだ。他人の人生を終わらせるヤツに、人生を続ける権利はないと『納得』しておくべきなんだ。『他人を傷付るようなヤツは自分が傷付けられて当たり前』、『他人を犠牲にするようなヤツは他人に犠牲にされて当たり前』、『他人の平穏を奪うヤツは自分の平穏を奪われて当たり前』、『他人の人生を終わらせるヤツに』・・・それ以上生きる権利はない。当たり前だ。こんなのは、ただの『当たり前』だ。そんな当たり前の事が『当たり前』になっていないから、いじめだとか、犯罪だとかが、いつまで経ってもなくならないんだ!何故なら、人の心は『読めない』からだ!本のようにページをまくって、心を読むことなんて出来ないからだ!だからどんなに傷ついたって、ぼろぼろだって、潰れていたって、心だけが死んでしまったって、他人の目には決してそれは『読めない』。見えない。分からない。どんなに訴えたって届かない。どんな思いで、どんな気持ちで、生きているかなんて、分からない。本を読むように、心を読んだりなんて出来ないから、『弱い』とか、『甘ったれるな』とか、『強くなれ』とか、『死ぬよりはずっとマシだろう』とか、みんなそんなことばっかり言うんだ。
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