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「お前、無理し過ぎなんじゃねーの?
最近ちゃんと寝てねーだろ。」
この人にはいつだってお見通しなんだ。
だから嫌いなの。
あたしは誰かに弱さを見せれるほど
強くなんてなれねーんだよ。
「寝てるよ、それなりには。」
「相変わらず可愛くねー女だな。
もーちょい素直にならねーと
いつまでたっても男出来ねーぞ?」
「こらぁ~!!
雛乃の夜桜いじめないでよ!!」
あたしには守るものも
大切にしなきゃならないものも
もう何も……何1つないの。
素直になれてたら
家飛だしたりしなかったつーの。
「雛乃、ありがと。
でもね、矢崎さんの可愛くねーて
言葉は愛情なんだよ?
いつものことだから慣れちゃった。」
「あはははっ!
やっぱ、お前可愛くねーわ。」
ニッカにサンダル姿のいつも通りの
矢崎さんなのに今日は何だか寂しげで
ふいにあたしは泣き出しそうになった。
「可愛くなりたいよ、あたしだって。」
聞こえるか聞こえないかの小さな声で
あたしは涙を堪えながら呟いた。
本当は心では分かってる…。
孤独も、寂しさも本当は凄く凄く怖い。
でも、誰かにあたしの全てをさらけ出すにはあたしの傷はデカ過ぎる。
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