第1話 ~fast butterfly~

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「あん…あ、…あっあっ、」 「名前、呼べよ…っ。 今だけは俺だけに溺れろ。 いっつも、お前寂しい目してんだよ。 誰といてもお前の闇は消えないのなら 少しでもいいから忘れ…ろっ…。」 やっぱり、変わってる人…。 あたしの何が彼を揺り動かすんだろう。 あたしの何が彼を溺れさせるんだろう。 「さっ…とし…っ! はぁっ、んっ、ああっ…」 「ん…、 夜桜っ、さっ…くら!。 これ以上何も望まねーから、 俺のソバに居ろよっ…っぁ…。」 あたしは枕がしたいんじゃない。 売上欲しくて抱かれてるんじゃない。 そんなの、どうでもいい。 少しでもいいからあたしの闇を埋めて? 少しでもいいからあたしの傷を埋めて? ただ、それだけ。 あたしが欲しいのはそれだけ。 「さとしっ、さとしっ… あっ、あんっ、んっんっ!!」 あたしは矢崎さんの動きに 腫れ物を扱うように抱きしめるその腕に 時折愛しそうにキスしてくるその唇に 何故だが心地よすぎて毎回溺れる……。 この瞬間だけは何も考えられなくて、 何もかも委ねられる。 何もかもがどうでもよくなれる。 「夜桜お前を愛してる…………。」
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