第1話 ~fast butterfly~

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「ねぇ、矢崎さん…。 あたしの何がイイの?」 「ふぅっー。 っんだよそれ、ははっ。 何がって俺にもわかんねーつぅの。」 矢崎さんはパーラメントに火をつけて 挑発的な目であたしを見る。 「あっそーうですかー。 聞いたあたしが馬鹿でしたー。」 「んっとに可愛くねー女だな。 まー多分そういうとこに 惚れちまったんだろーな、俺は。」 あたしは腑に落ちないのが 無性にイライラしてパーラメントを 奪い取って煙をまとった。 「おいしーですか、俺の煙草は。」 「んーやっぱりあたしは 一生メビウスでいいや。 先っぽが空洞でやだー。」 「ついに夜桜から下ネタ?」 煙草を灰皿に押し付けて 矢崎さんを見るといつものように 屈託の無い笑顔であたしを見つめてた。 あたしは矢崎さんの笑顔が苦手だ。 見透かされてるみたいに感じて 小さい子が嘘をつく時みたいに 落ち着かない気分になるんだもん。
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