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「して、何故大の大人が迷子になられた?」
「ここん朝市で、からくり戦士がんぞうの新型もびるすーつを見つけて……店んオヤジと値段交渉してたら、誰もいなくなってた……」
羅魏はいきなりおんぼろ神社の階段を飛び下りて
「そのオヤジはどこだ!?」
「こっちです!旦那!!」
二人は、一目散に神社の階段を駆け下りた。
その頃流星☆ミ一座では、夢摘がいないことにようやく気が付いて、荷馬車を引き返していた。
人ごみをかき分け、夢摘の案内で、神社の朝市の一画にたどり着く。
店のオヤジはゴザを丸めて店じまいの最中だった。
「おじちゃん!こきあったがんぞう最新型もびるすーつは?!」
店のオヤジは、ゴザを背中にしょって
「いましがた売れたよ。何でも、博打の景品にするらしいよ~!お嬢ちゃん惜しかったね!とうちゃん連れてきたんかい?」
「誰が!お嬢ちゃんや!!」
「……とうちゃんて、わし?!……へこむな~」
二人はその場にへたり込んだ。
店のオヤジの後ろ姿を見送っていると、羅魏の腹が鳴った。
夢摘が背負っていた風呂敷から、ぱそこんやら何かの部品やらジャラジャラ地面に広げた。
「食べる?がんぞうかっぷぬーどる。さっきのオヤジから買った」
ふたりはその場で火をおこして、お湯を沸かした。
「珍しいな~女でがんぞう好きとは!」
「……元彼が、金髪で敵鬼「しゃあーく」に似てた……中身は全然違ったけど」
*補足*「敵鬼」「しゃーく」
じぱんぐ防衛軍もびるすーつがんぞうに対抗して作られた、多国籍軍もびるすーつ敵鬼。ぱいろっとのしゃーくはがんぞうきゃらの中でも不動の人気を誇るいけめん。
羅魏は麺を啜りながら、子牛の頭に手を置いた。
「……切ないな~。わしも昨晩、彼女に追いだされた……そう言えば、ぱろに似てたな~」
*補足*「ぱろん」
主人公迦楼羅のもびるすーつ修復用の小型ろぼっと。けまりの形をしている。
「……切ないね……」
「うむ。切ない……」
市の見物人が、物珍しそうに二人の前を通って行った。
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