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ミハイル特製前鬼おむらいすの洗礼を受けた蜂文が、ようやく回復した二日後……
ある大問題に直面していた。
「まだ、足りなくない?水と天の人いないよね?」
彼方が蝶の扇子で優雅に仰ぎながら、夢摘の入れたかふぃ片手につぶやいた。
流星☆ミ一座女子の中で、最近朝食にはかふぃと決まっている。
「足りんね!由比さん気付いちょらんと?」
ん~と彼方は小首をかしげて、
「聞いてくる~。夢摘さん、鼓子さんに町まで行ってくるって伝えてて」
彼方は白馬にまたがった。
今日は紺の狩衣姿の男装だ。
羅魏を見つけてから、ぱそこんのぐぐるあーすは、何も示さなくなってしまった。
途方にくれてこの二日間は、羅魏の国から少し南に下った辺りで、見世物小屋を開いていた。
夢摘と羅魏の造るりあるがんぞうと、彼方の舞い、由比の軽業に、ミハイルの食べてはいけないきゃら弁当、鼓子の薬学講座……と、小屋は毎日大盛況だ。
彼方が馬で駆けていくと、赤い燈籠の並ぶ花街が見えてきた。
「やっぱりここにいた!由比様~」
花街には珍しく、燈籠の入口で、朝から女達の艶やかな着物の人垣出来ている。
その中心に、黒ずくめの由比が何やら白い物を、胸に抱いていた。
「由比様?何抱っこしてるの?」
彼方が近付くと、由比の回りの女達がキツイ視線を彼方に注いだ。
「彼方殿!見てください!なんと可愛らしいのでしょう!!」
由比の笑顔に、女達は頬を赤く染めた。
彼方に向けていたキツイ視線をとろけさせて由比に向けた。
由比の胸には白い子犬が一匹。
近づいた彼方に、精一杯威嚇して見せた。
「いやーん!可愛い!!」
彼方は由比の腕から奪い去るように、子犬を抱いて、ちゅっと口づけした。
「由比様!この子飼ってもいい?」
こうして、白い子犬は流星☆ミ一座の一員になりました。
――――と、俺とこいつらの出逢いはこんな風に始まったわん♪
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