第1章

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 由比は皆を集めて、話を始めた。 「皆さんを探したわけは、もう知っていると思いますが……こうして印を持つものがそろいました。これから、国へ向かいます」 「あ!由比殿」  蜂文が手を挙げた。 「夏季休暇も終わりますので、拙者は国へ戻らなければなりません。次は正月休みということで」  ではと、蜂文は浅葱の羽織を翻して、愛馬にまたがった。 「何かありましたら、そこらの木にでも伝言を頼んで下さい。めーるだと隊務中は気付きませんので」  わんとむーんが返事をするように吠えた。  皆で蜂文を見送ると 「…………では、他の皆さんは参りましょう」  彼方が手をあげる。 「由比様ぁ!一座からめーるがきて、この先の国で講演してるみたいなんです。どうしても、彼方の舞がないといけなくてぇ~ ちょっと帰って来てもいいですか?」 「…………そうですか。では、現地集合ということで。他に用のある人はいますか?」  由比の問いに、ミハイルが手をあげる。 「ちょっと妻と子供に会いたいのですが…………」 「却下!」  鼓子が即答する。 「ミハイルさんの奥さまに立派にお勤めを果たすまで帰って来なくていいって言われたの忘れたの?」 「ええ!そんな…………」  しゅんとうなだれるミハイルの隣で、羅魏が手をあげた。 「わしの休暇届はどうなってるのですかい?新学期の準備もあることですし……」  えっとと、由比がぱそこんを開く。 「蜂文さんがいろいろとやって下さったんですよね……どうだったかな…………」  彼方が立ち上がって、側にあった木に手をついた。 「お願い木さん。蜂文さんに羅魏さんの休暇届いつまでですか?って聞いて下さ~い」  彼方は木に耳を付けたまま目を閉じた。 「は~い!分かりました」  にっこり笑って羅魏の方を向いた。 「臨時の先生が来られるそうですからぁ~いつまでも休んでもいいそうでーす!」    夢摘が暑っと牛の着ぐるみの頭を外して 「それってクビじゃないと?」 「ええ!?」  うなだれる羅魏の肩をポンポンと夢摘がたたく。  由比が咳払いして 「では、鼓子殿、ミハイル殿、夢摘殿、羅魏殿、むーん。国へ参ります」  馬上の由比の背に背負われたぱそこんが緑色に光った。    小国星家が旭の国を破り、大和が統一されるのは  これから二十五年後の話―― 第一部・星の名を持つもの完
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