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「その男、最低だね!」
夏樹君は、本当に憎らしくてたまらないという風に、椅子の肘掛を殴った。
ケープから突き出た顔が忌々しそうに歪んでいる。
不機嫌なてるてるぼうずみたい。
その姿に少しだけ和む。
「まじ、最悪。男のグズだね」
夏樹君はあらん限りの言葉で、顔も知らない隆也のことを罵った。
「最低?なのかな」
鏡越しに夏樹君の顔を見つめると、
「最低でしょう!だって、二股して期待持たせたうえに、他の女と結婚しちゃったわけでしょう」
彼は繰り返す。
「まぁね」
あたしは苦笑いし、再び作業に戻った。
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