34人が本棚に入れています
本棚に追加
せっせと手を動かしながら、あたしはまた昨日の事を思い出す。
隆也の車の中で、あたしたちはほとんど黙ったままだった。
時折隆也が、「寒くない?」「寄りたいところはある?」そんなことを聞き、あたしは「平気」、「特にないわ」そんな返事をした。
しかし、間もなくあたしの家に着くというときになって、隆也は意を決したように口を割った。
_明日も、迎えに来ようか?
_明日も?
_ほら、きっと、明日も雨だから。
戸惑いがちに、祈るようにあたしを見つめた隆也を前に、でも、あたしの心は決まっていた。
最初のコメントを投稿しよう!