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振り向くまでのほんの短い時間(3秒にも満たない時間だ)で、あたしはずいぶんと葛藤した。
なぜなら、振り向けば、その姿を認めた途端、三年前の初雪がふったあの日の自分に戻ってしまうような気がしたから。
心も体も、濡れて凍ったあの寒い夜に。
怖かった。
再び、彼を愛し始めてしまうかもしれない自分が怖かった。
なのに、あたしは振り向いた。
そのまま走って逃げることも出来たのに、そうしなかった。
今でも、あたしの細胞には、隆也を無視するなんてできないと、しっかり記憶されているのだろうか。
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