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「それで、美杉さん。まさか、そのモトカレとどうこうなっちゃったわけじゃないですよね?」
栗色の髪の毛を黒く染めてもらいながら、話しの先を催促したのは、国立大の医学部へ通う夏樹君だ。
彼は、あたしが初めてスカウトに成功したカットモデルで、以来、あたしを指名して、こうしてお客様としてサロンに来てくれる。
人懐っこく、甘え上手で、まるで年の離れた弟のように可愛い彼は、あたしに恋愛相談をよく持ちかけた。
なんでも、彼の好きな女の子もあたしと同じ名前なのだという。
美杉なんてそんなに多い名前じゃないのに、なんという偶然だろう。
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