episode6・①

9/23
前へ
/23ページ
次へ
「それで、美杉さん。まさか、そのモトカレとどうこうなっちゃったわけじゃないですよね?」 栗色の髪の毛を黒く染めてもらいながら、話しの先を催促したのは、国立大の医学部へ通う夏樹君だ。 彼は、あたしが初めてスカウトに成功したカットモデルで、以来、あたしを指名して、こうしてお客様としてサロンに来てくれる。 人懐っこく、甘え上手で、まるで年の離れた弟のように可愛い彼は、あたしに恋愛相談をよく持ちかけた。 なんでも、彼の好きな女の子もあたしと同じ名前なのだという。 美杉なんてそんなに多い名前じゃないのに、なんという偶然だろう。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

34人が本棚に入れています
本棚に追加