episode6・②

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千島さんのシャンプーを終え、再び夏樹君のところへ戻ると、彼は、にやにやしながら携帯電話を見つめていた。 「こら、夏樹。顔がだらしないぞ」 突然後ろから声をかけられた夏樹君は、慌てて携帯電話を隠した。 「美杉さん。お化けみたいに後ろにいないでくださいよ」 「誰がお化けよ。失礼ね。彼女からのメールに鼻の下伸ばしてたんでしょう?」 「ま、否定はしませんけど」 夏樹君は、つい最近、6年越しの片思いを実らせたばかりだという。 その子は、あたしと同じ名前で、あたしと同じように好きだった男の人に裏切られた過去があって、でも、あたしよりずっと若くて、あたしの100倍は可愛いのだとか。
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