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夏樹君が帰ると、入れ代わるように大一さんがやって来た。
大一さんは店長のソニアさんの弟で、詩織のかつての恋人だった人。
自由気ままにあちこち放浪し、今はバーとメヘンディーアートの店を経営している。それも、いつまでかはわからないけれど。
「ちょっと、すぐに切ってもらえる?」
大一さんは、店内を見回すとソニアさんに向って大声を張り上げた。
「生憎、あたししかあいていないけど、それでもよければ」
あたしの申し出に、大一さんは、ちょっと嫌そうな顔をしながらも、
「仕方ない。練習台になってやるよ」
降参したように両手を広げた。
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