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このサロンでは誕生日休暇というものが与えられる。だから、本来なら、今日あたしはお休みだった。けれども、たまたま予約が重なり、ついでに店も忙しそうだったので、混み合う時間が終わるまでお手伝いしていたというわけだ。
「んなもんねぇよ」
差し出した手を、大一さんは強く弾いた。
「いったぁい」
「うるせえな。そんなことより、ほれ、早く帰れよ。デートの約束があるんだろう?」
言われてあたしは掛け時計に視線を移した。約束の時間は、とっくに過ぎている。
あたしの休暇にあわせて、わざわざ有給を使ってくれた、優しい彼が待っている。
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