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「お待たせいたしました」
カウンセリングブースで待たせていた女性客が、ヘア雑誌から顔をあげ、あたしを上目遣いに見上げた。
落ち着いて知的で美しいこの人は、新規のお客様。
でも、あたしは彼女のことを知っている。
「どんな風に致しますか?」
「そおね…」
彼女はあらかじめ目をつけていたページをためらいがちに指差した。
それは、いかにも小顔の彼女に似合いそうな、さっぱりとしたショートヘアーだった。
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