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「おい、あんた…神谷猛!
ここは放課後囲碁するところなんだけど!」
ドアをバンとわざと音をたて閉めると、ドシドシと存在感をアピールしながら猛に近づいて話しかけた。
神谷猛の顔が俺の方に向く。
目が合った。
「…囲碁?」
「囲碁しないなら出て行ってくれる?」
猛だけを睨む。
奴の2メートル手前で止まって、胸を張り、入口を指差した。
「………」
猛はなぜか無言でにこり。笑顔を浮かべた。
猛の余裕ある態度はさらにオレを激昂させていく。
囲碁は俺のフィールドだ。
そこへチャラついた何も分かっていない奴が、土足でずかずか遊び半分で入って来て欲しくない。
人見知りが無く人懐っこい普段の俺なら、この場に居合わせたことを理由に『ね~囲碁やってみなーい?初心者歓~迎!』と囲碁の勧誘をしている。
だが猛だけは別だ。
俺は、猛が気に入らなかった。
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