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カサリと、不意に落ち葉を踏む音がした。この場所を知っているのは浅葱の他に一人だけだった。今、まさに思い浮かべていた友人の顔をそのままに振り返ると。
「あれ……?」
木立の中から現れたのは、茶色いおかっぱ頭の小さな女の子だった。一瞬、誰だか分からなかったのは彼女が、いつも着ているだぼだぼの白いニットを、着ていなかったからだ。
「水母ちゃん?」
どうしてここに、と続けるはずだった言葉を、浅葱は飲み込んだ。水母の表情からはいつものおちゃらけた笑顔が消え去っていて、じっと無表情に、睨みつけるような鋭い眼光で浅葱の顔を凝視していたからだ。
「……っ!?」
次いで背筋が凍りついた。水母の露出した手足には、あちこちにツギハギのようなモールドラインが浮き出ていた。
それは明らかに、人の体ではなかった。
「ぎっちょん」
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