終章 くらげとかめ -4-

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  『自分ら第二人類は、ちょうどこの高台の地下にある超規模量子演算機内に構築された仮想世界にプログラムされた人工知能なんや。その仮想空間を現実世界に逆転写したんがこの街やで。せやから基本的に実体が無いし、質量も無い。でもそれやと現実の物に触る事がでけへんやろ? 成人の儀っちゅうんは、その人工知能を機人の身体に実装するための、要は工程やねん。神様? おらんおらん、そんなけったいなもん』   嘘の世界。どうやらそれが、二渡水母が知ってしまった真実なのだ。 『機人に自我も理性も無いっちゅうんは、まぁある意味正しいんや。人工知能である第二人類に自我や理性があるかどうかは、第一人類の間でも意見が分かれとるさかいな。俺か? 俺はある思うで。そうやなかったら自分とこんな風に話たりしとらんわ』 俺たちのまわりは、現役高校生巫女なんてマニアックなキャッチフレーズに引き寄せられたのかどうかは知らないけど、大勢の観客で溢れている。 しきりに携帯で写真を撮る若い男女や、和太鼓の拍子に合わせて手を叩く酔っ払い。 俺の目には、そんな観客の体の中に、機人の機体が透けて見える。  
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