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「ん?」
「きのうの奴等といい、あんたといい、一体何者なんだ?こっちの世界とか、普通の人間とかしきりに言ってたけど・・・・・・」
きのう拓未が一番聞きたかったことだ。里倉は少し黙っていたが、やがて再び人型に姿を変えると、極めて真面目に、そして優しい口調で話し始める。
外見はともかく、彼の声にはとても爽やかな、好青年の雰囲気があった。
「・・・・・・僕も君には本当のことを説明しようと思ってたんだ。
まず自己紹介だ。僕は夢世界[セントマーナ]の親衛戦士、ランス・マニアス。
里倉というのは、こっちの世界で動きやすいように作った、仮の姿なんだ」
「・・・・・・」
拓未はあまりに非現実的な言葉に疑問を感じたが、きのうのこともある。黙って納得することにした。
「セントマーナは、はるか昔に人々の希望、熱意、夢見る心や願いなど、さまざまなプラス思念が集まって創り出された世界で、こっちの人々の心と『夢』という形で繋がっている。
君達が何かを願ったり信じたりする気持ちが強いと、それが『夢エネルギー』としてセントマーナに送られてくる。そのエネルギーを糧に、セントマーナでは生命の樹が育まれ、そこから『奇跡』と呼ばれる力のかけらが、逆にこちらの世界に送り出ろ出される。
こうして永年、お互いに共生が保たれているんだ」
そこまで言うと、里倉はにわかに険しい顔になった。
「・・・・・・ところがここ数十年、そのバランスが崩れきてしまっている。
文明が発展するにつれ、こちらの世界の人々が夢見る心を忘れ、セントマーナでは夢エネルギーが減少し続けているんだ。
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