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今日は五月にしては肌寒い天気だった。
屋上入り口の階段の踊り場で一人座り込み小さな窓の外を見つめる。
風は入ってこない。
だが、外は黒い雷雲が空の全てを覆い隠してゆっくりと動いている。
彼はこの雲が嫌いだ。
まるで自分のようだと、同族嫌悪を思えるのだと言った。
少しだけ長めの黒髪は黒雲の様で、角度によっては紫に見える黒眼も決して目つきがいいとは言えない。
実際よく授業をサボっている彼は素行がいいとは決して言えないが教師から一目置く存在であり、危険な人物でもある。
ちょっとした刺激であたりに天災を撒き散らす。それはまるで自分のようだと。
ーー彼の魔法は防ぎ用がない天災だった。
高すぎる魔力と適性や変換率に変換速度、果てには飲み込みのよさによって彼が放つ魔法は威力を抑えるのが極端に苦手だ。
故に彼の魔法はある種の天災に近い。
そして皮肉なのか、彼の最も高い魔力適性は雷。
いくら魔法でもそこまで高い威力は普通は出せない。
時に雷は十億ボルトもの強さを誇る。そこまで高い電撃は流石にいかないが、彼にはそれに近いレベルの雷の魔法ができた。
故に彼はこの学園とあの黒雲を毛嫌いする。
自らのレベルに適さないこの場所を呪いすらする。
こんなのただのーー
「牢獄だ」
ーーと、今日も一人この小さな窓から同族を見る
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