第二章

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会長の視線はやけに鋭いものだった。 他の社員なら息を呑むような場面にも 彼女は、特に緊張している素振りを見せない。 「まあ、かけなさい」 応接用に設置されたソファに 二人は向かい合うようにして 座った。 そして、直ぐに沈黙は破られた。 この御爺さん(会長) 案外、短気な気質があるらしい。 「呼び出したのには訳がある」 随分ご高齢でありながら、はたまた、この年まで会社に席を置くぐらいだ。 痩せ細った体とは、思えぬほど重みのある声を出してくる。 「何なりとお申し付け下さい」 下げられた頭の先で、会長が ニヤリと笑う
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