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「女遊びをですか?」
彼女の声には、無意識に軽蔑するような感情が含まれていた。
本来なら、コントのような。笑いさえ起きても可笑しくないほどの間抜けな言葉並びにも、彼女の真剣に出した声色によって、場の空気は重く流れた。
会長はまるで、その空気を一掃するかのように大きく咳払いをした。
「まあ、あれだ。私も生い先短いのに、跡継ぎがあれでは、不安が拭いきれない」
互いの本題は、そこではない筈なのに、ずれた答えが返ってくる。
「そうですか」
それ以外に、彼女に何と答えることが出来ただろうか。
まだ今年、大学を卒業して2年しか経っていない彼女には、この場を切り抜けるだけの技量も経験もなかった。
「ついてはだ。君に、孫の秘書を任せて、私生活での教育係も勤めてほしい」
「・・・・」
彼女は答えない。
迷っているのか。
断る言葉を探しているのか。
そのまどろっこしい沈黙に
またまた会長の短気が発揮される。
「何もタダでとは言わない。それなりの報酬はもうける。勿論、役付きの秘書となれば、それに対しての手当てもある」
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