第1章

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相沢米は御歳92歳になる。 健脚で、どんなに急勾配の坂であってもすいすい歩く事ができる。 筋力も衰えは見られず、20Kg程の荷物さえ何食わぬ顔で運ぶ事ができる。 視力も良好、聴力はすこぶる良い、モスキート音だって聞こえる。 ただ、自分にとって都合が悪い時は急に耳が遠くなる振りをする事がある。 しっかりとした家柄の生まれであり、様々な教育や習い事を成され、花や琴、三味線にお茶を趣味とする穏やかな女性である。 20歳で実業家の男性と結婚をし、4男2女を授かり、その後は12人の孫と9人の曾孫、7人の玄孫に恵まれた。 毎朝の日課は、朝9時に大きな日本家屋の掃除を済ませ、その後に愛猫の六丸を膝に乗せて縁側でお茶を飲む事である。 お茶を飲んだ後は、なによりも好きなジンライムを舐めながら音楽を聴く。 演歌などでは無い。 ロックである。 米さんは42歳の時にエルビス・プレスリーの魅力に嵌まった。 そこからロックンロールの魅力にどっぷり漬かり、王道なロックンロールからハードロックやメタルに嵌まり、今ではヴィジュアル系ロックバンドや、ライヴハウスに出始めて間もないバンドまでチェックするほどになっている。 今ではライヴハウスで知り合った若者達とバンドを組む程である。
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