金壱章 雷光一閃

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「……そうですわね。 もしかしたら、あの者達が 私の国にも、攻め入ったかも しれませんし……」   「分かった……。それじゃ 出掛ける準備もしないとな」   「あの……、基成様……。 昨夜は……、その……。 ご迷惑を掛けてしまった みたいで……」   昨夜、北条に泣き付いた事で ヨシモトが、何か言おうとするも なかなか切り出す事が 出来無かった。   「……何も言うな、ヨシモト。 それについては、振り出しに 戻っただけだ……。 それ以上でも、それ以下でも 無い」   (基成様……)   「さぁさぁ。布団畳んで 朝餉、食いに行くぞ……」   照れ隠しか、早速 今日の予定を行動に移す北条。   「……クスッ」   それを見たヨシモトは 安堵からか、ようやく微笑んだ。   「……婚約している間とは言え 朝から見せつけるでは無いか。 二人共……」   そこへ、騎乗したミツヒデが 冷やかしにやって来た。   「な、何だ?ミツヒデ。 いつから、居たんだ? 遠掛けか?」   「『振り出しがどうたら』と 言った辺りからだ。 私は、これよりヨシテル様の所へ 行ってくる」   「ヨシテルの所へ……? 何で、また……?」
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