金壱章 雷光一閃

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『う、うん…………』   昨日の出来事を思い出したのか 暗い表情を見せるカシン。   『カシンちゃん……。 ヤクモさんに兄弟や姉妹は 居なかった……?』   『えっ……?居ないけど どうして……?』   『カシンちゃんの事を考えると 確かに、約束はしたけど……。 赤の他人である、私より 身寄りが居るなら……。 そっちに居た方がいいと 思ったの……』   『…………嫌い、なの?』   『……えっ?』   『私は、かか様に言われた通り お姉ちゃんと行きたいのに……。 私の事、嫌いなの……?』   『ちっ、違います……。 好きとか、嫌いとか そういう単純な事では……』   泣きそうなカシンを見て うろたえるイエヤス。   『じゃあ、一緒に行っても 良いよね?お姉ちゃん……?』   カシンの真っ直ぐな瞳に 困惑するイエヤス。   『わ、分かりました……』   『わぁ~いっ!!』   不安そうに見つめる イエヤスをよそに歓喜する カシン。   (……プッ。あれでは、どっちが 上か、分からぬな……)   障子越しに、二人の様子を 見ていた、マサムネが微笑する。
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