金壱章 雷光一閃

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時戻り、現在。 伊勢~尾張間・街道。   「遺言通りって訳ね……。 でも、その方が良かったかも」   「どうして…………?」   モトナリがヨシテルに尋ねる。   「だって、もしイエヤスが聞いた 松永の言う『計画』の中に 『榛名』だけでなく カシンちゃんも入ってるとしたら また、危険に晒されるかも しれないのよ……? それに、こんな戦乱の世に そんな娘を引き取る余地が あると思う……?」   「……確かに、そうね」   ヨシテルの推理に同意する モトナリ。   「……まぁ、イエヤス殿に 付いていくと言うのだ。 松永の事を考えれば これ程、安全な所は無いな」   「……お姉ちゃん達!! 先に行っちゃうよぉ!!」   三人をよそに、先に行く イエヤスの杖に乗って 呼び掛けるカシン。   「……カ、カシンちゃん。 あの三人は、大名で 一人は将軍様なんですから それは、めっ、です」   「……はぁい」   イエヤスに注意され ふて腐れるカシン。   「……流石のイエヤス殿も あれでは、形無しだな」   「……でも、まんざらでも なさそうよ……?」   「それじゃ、私達も また怒鳴られる前に 参りましょうか」   カシンに促されたか 馬を速める三人であった。
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