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「そんな………」
いやいやいやいやいや。
無理無理無理。
「私、今からでも隣町の宿に行きます!」
「ここからだと駅まで車で40分かかりますよ。
それに駅までの交通手段がありません。」
こんなときも余裕のほほえみでつらつらと喋りやがる。
あたしが焦っているのを、見て楽しんでやがる!
「女将さんに頼んだらどうにかしてくれ「女将さんには、
男女一緒の部屋でも大丈夫かと気遣っていただいたんですが、
僕たちが恋人だというと、安心してくれましたよ。」
こんの野郎!
女将さんに気遣ってもらったのに
他の宿探すなんて、言えない。
しかも、恋人っていうのは
偽装だけど、嘘ではない。
「諦めてください、桐山さん。」
満面の笑みでそう言ってくる、吉田さん。
あたし、もうダメかも。
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