デブ、夜に憧れる。

2/3
前へ
/5ページ
次へ
夜の世界ってどんな世界だろう。 ドレスを着た綺麗なキャバ嬢や、ツンツンヘアーの目立つイケメンホストが夜の繁華街で輝いて見える。 太り始めたのは小学校の頃。恋とか青春とか、そういうものにキャッキャするような年頃になった時には、既に立派なデブの仲間入りを果たしていた。 みんなが高校デビューだとハシャいでいた時、俺は高校デブーだ。 今の所、大学デブーするつもりはないが、このままだと社会人デブーすることになるだろうなと時々思う、時々ね。 「おはー!」 バイトの無い休日の昼過ぎ、大阪市内のとある動物園がある町でのこと。どんな時も挨拶はおはようを貫く俺。 「久しぶり~。待った~?」 同じ高校の爽やかイケメンこと宮本君がやっと御到着。実に一時間以上の遅刻である。 「待った待った!めっちゃ待った!この暑さの中待つんは辛いで……。テリヤキになってまうやん!」 季節は夏、文字通り太陽が一番輝く季節である。 「パラさん、汗すごいなぁ~。」 何故が俺のことをパラさんと呼ぶ宮本君。 「いやー、しっかり中まで火が通って肉汁が……って誰が焼き豚や!」 「いやいや~。パラさん自虐が…」 軽く笑った後、苦笑いしながら返す。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加