【暴走Ⅴ その壱】

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食べている間もサイン下さい。とか握手して下さい。とか……。 いやいや。ご飯中だよ?私。 常識を考えましょうか?ってな感じで全て断った。 あまり落ち着かない食事をして竜兄と二人、手を繋いで駐車場まで移動。 「何か。あんまり食べた気しなかった。せっかくプリクラも撮って買い物も沢山出来て楽しかったのに。最後にあれはないよね。」 歩きながらブツブツと文句を言う私。 『仕方ねぇだろ。有名になっちまったんだから。今、半端だから尚更近付くんじゃねぇの。あんま愛想悪くすると評判落ちるぞ。ファンには愛想良くな。』 「ファン?私の?あの人達が?」 そうなのか? 『はっ?何だと思ってたんだ?』 「えっ?見たことある人。って位?」 『…バカか。皆。ちゃんと、モデルのRAN さんですよね?って言ってただろうが。お前に会えて嬉しそうだっただろ?サインは出来ないにしても握手位してやれよ。』 「…ってかさ。私のファンとか居るわけ?」 ただのバイトモデルだぞ? 『お前さ。本当。自覚足りねぇのな。この間の空港にしても今日にしても。ただ見たことある人ってだけで、あんなに囲まれたり声かけられたりしねぇだろ。逆にもしお前が、あれ?この人何かどっかで見たことある。ってだけで、わざわざ声かけるか?かけねぇだろ?』 あぁ。なるほど。 「……そうっすね。すいません。」 やっぱりモデルも考えようと改めて思いました。
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