【暴走Ⅴ その弐】

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夏休みも残り1週間。 私にはやらなきゃいけないことが山ほどある。 朝、竜兄に送ってもらい家に帰った。 リビングに顔を出せば、父さんと詩音さんの姿。 「おはようございます。」    声をかければ食事中の二人がこっちを見た。 『おうっ。おはようさん。竜は仕事か?』 父さんの前に座ると聞かれる。 「うん。送ってもらった。休んだ分、目を通す書類が溜まってるって言ってた。」 土曜日は仕事に出たものの、私の事が気になって手につかなかったらしい。 『おはよう。蘭花。ご飯は?』 と、詩音さん。 「食べた。あっ。いいよ。自分でコーヒー入れるから。」 コーヒーを入れようと立ち上がろうとした詩音さんを止める。 立ち上がりコーヒーを入れて、またテーブルについた。 「今日から、6人。指導に来るから。矢部さんには話してくれた?」 『おぉ。言っといたぞ。だけどよ。一気に6人が指導すんのか?』 「それぞれでしてもらうよ。空手、柔道、合気道。二人ずつ指導者として。組員さん達には別れてもらって、日替わりしてもらえばいいでしょ?私はどっちかって言うと総合格闘技だから、ひとつひとつの基礎から教えてもらった方がいいだろうし。」 『なるほどな。だから、三階建てビルか。分かった。物件の方はどうすんだ?一緒に見て廻るか?』 「そうだね。やっぱり自分で見た方がいいよね。何軒か絞ってくれたら助かる。今日は指導の方に付くから。頼んでいいかな?」 『おうっ。任せろ。明日には挙げとくよ。夜にでも竜と顔出せ。』 「ん。分かった。ありがとね。ヨロシクお願いします。じゃあ。私。道場行ってくる。」 立ち上がりカップをキッチンに置いてリビングを出た。 部屋に行き着替えを済まして携帯を手にした。
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