【暴走Ⅴ その弐】

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お昼を挟んで、また指導をしてもらう。 大丈夫そうだったから、道場の方は矢部さんに任せた。 組長室に出向き中に入る。 「父さん。お願いがあるんどけど。ちょっといいかな?」 物件の候補を一枚一枚見ていたらしい父さんに声をかける。 『あぁ。どうした?』 「あのストリートファイトの事なんだけど。何人か被害に遭って入院したみたいでね。その人達と示談をしたいの。警察を介せずにしたいから、顧問弁護士さんに話してもらえないかな?慰謝料はしっかり払わせる。ケジメはつけさせないといけないし。だからと言って、被害届を出されるのは私が困る。今日の指導を見る限り、ちゃんとやっていけそうだから。お願いします。」 頭を下げお願いをした。 きちんと皆が出来るかを見てから判断して頼まないと、後で迷惑をかける事になる。 だから、今日の姿勢を見てからお願いをするつもりでいた。 『なるほどな。分かった。示談交渉する様に言っとく。慰謝料もどの程度になるか分からねぇぞ。いいのか?』 それは、仕方ない。 「はい。きちんと払わせます。月々の給料から差し引く様にするから。私が立て替えられたら、それが一番いいんだけど。ジムの準備金とかいるから。」 『じゃあ。俺が立て替えとく。西極組が立て替えるから、月々西極組に支払え。遅れたら取り立てるぞ。これは、俺とお前のビジネスだ。いいか?』 父さんは、私を見据えニヤリと笑った。 「…西極組に借金か…。でも、まぁ。仕方ないかな。慰謝料、一気に払った方が気が楽だし。じゃあ。それでお願いします。」 私も笑う。
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