【暴走Ⅴ その弐】

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『何。一人で先に呑んでるんだよ。』 竜兄が部屋に入ってきた。 「竜兄も呑む?泊まれるの?」 いつもは仕事の時は帰るのに。 『ん。今日は泊まる。帰るの面倒くせぇ。疲れた。』 そう言って冷蔵庫からビールを取り出した。 「仕事、溜まってるって言ってたもんね。お疲れ様。」 竜兄の持っているビールに自分のビールをちょんとあてる。 『あぁ。お疲れ。蘭花も大変だっただろ?どうだった?指導の方は。』 「それが、思ったよりちゃんと指導出来てた。でも、まぁ。今はある程度出来る人達相手だからね。これが、素人さんや子供相手だと、また違うだろうしね。そう言う事も話したら、結構やりながら皆考えてくれたみたいでさ。だから、いい方向に行くと思うよ。最初が肝心だと思う。最初から無理だって思われたら何言っても、やる気出ないだろうし。それを考えたら、あの人達それぞれ考えてくれてるからやる気が見えるよ。父さんに慰謝料の件もお願いした。皆がちゃんとやってくれるって確信したからさ。西極組が立て替えるって。慰謝料。月々、西極組に返金する形で。」 ビールをグッと呑む。 『その方がいいんじゃねぇの?お前的にも気が楽だろ。だけど、あれだ。そうなれば、確実に経営上向きにしとかないと極道の取り立てが来るぞ。こえぇな。』 笑いながら竜兄が言う。 「そうそう。ちゃんと払わねぇと取り立てるぞ。って言われたよ。怖いねぇ。ヤクザの取り立て。」 私も笑って言った。
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