【暴走Ⅴ その壱】

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朝。 のんびりと目覚める。 『おはよう。蘭花。』 「おはよう。竜兄。」 向かい合ってギュと抱きつき幸せをかみしめる。 ベッドから起きると 『俺。パンツしか履いてねぇし。せめて、Tシャツくらい着せろよ。』 着替えを取りながらブツブツ言っている。 「そんな状態じゃなかったし。そんなになるまで呑むのが悪い。大変だったんだよ。ここに運ぶのも。」 私も着替えをする。 『お前が遅いのが悪い。ってか、後半記憶無いな。俺。何かした?』 「だろうねぇ。私が帰ってきたら凄い勢いでくっついて来て。離れなかった。やっと座れたと思えば爆睡だし。洋介さんと二人でここまで運んだんだよ。」 『…マジ?後で礼言っとこ。』 さすがに懲りたか? 「でも、まぁ。仕方ないよね。ずっと待っててくれたんだしね。ゴメンね。來希にも竜さんが可哀想とか言われてさ。反省しました。」 軽く頭を下げた。 『來希が?あいつに同情されるとか。で?夕べは何処に行ってきてどうなったんですか?』 着替えを済ませ、冷蔵庫から水を取り出し座る竜兄。 「夕べは湘南の海まで行った。」 私は缶コーヒーを取り出す。 『湘南?デートでも行ったんだろ?』 「ん。行ったよ。」 『また、何で湘南なんだ?』 水を飲みこっちを見る。
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