【暴走Ⅴ その壱】

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それから、二人で父さんの所へ出向き夕べの全てを説明した。 『そうか。これからが大変だな。物件なら幾つか紹介してやるぞ。立地とか条件を言えば探しとく。まぁ。手続きとか準備にまだ時間がかかるだろうからな。それまでは、蘭花が言った様に組員達に稽古つけてやれよ。矢部には俺が言っとく。竜も大変だろうけど、色々教えてやってくれ。頼むな。』 父さんが竜兄の肩にポンと手をやり言った。 『はい。分かりました。ビシビシ経営のやり方を教えていきますんで。なっ?蘭花。』 私を見てニヤリと笑う竜兄。 「…そうですね。ヨロシクお願いします。不動産の方は父さんに任せます。人の往来が多い所なら条件は無いです。3階建てビルであれば全部のジムが収まりますから。じゃあ。そちらの方はヨロシクお願いします。」 組長室を後にして、部屋に戻った。 『これからどうする?』 竜兄に聞かれ答える。 「お昼まで志稀に稽古つけて、それから出掛ける?竜兄の家も何もないから買い物行こうよ。」 『そうだな。そうすっか。』 と、言うわけで志稀を呼びに行き道場へ。 精神統一をさせて、受け身や攻撃の仕方を教えていく。 志稀は次々に覚えるから教えやすい。 志稀に稽古をつけていて思う。 他人に自分の技術を教えるのも難しいと。 あの6人がどんな感じなのか、まだよく分からないから組員さんに交えて志稀にも指導させてみよう。 大人より子供の方が習い事として来る可能性は高い。 必ずしも志稀の様にやる気のある子ばかりじゃないかもしれないし。 親に無理矢理というパターンもあるかもしれない。 そう言う意味では、この準備期間にどれだけの指導力をつけるかは結構、重要な事かもしれない。
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