365人が本棚に入れています
本棚に追加
志稀の稽古も終わりシャワーを浴びて出掛ける準備をする。
あっ。そうだ。
いつもなら適当に服を引っ張り出し着る私。
でも、今日はどれを着ようか考えてみた。
たまには、スカートもいいかな?
最近、ジーパンとかばっかりだったしな。
タンスやクローゼットの中は、瑠璃姉に貰った洋服ばかりだ。
とりあえず、スカート。
どれにしようかな?
あっ。これ、スカートじゃないけど可愛い。
シンプルな黒地のキュロットスカート。
合わせの所にはシルバーの大きめのボタンが二つ付いている。
んじゃ、これに合わせて上はどうしようかな?
タンスを漁る。
黒のキャミソールに肩口が広めのデザインTシャツ。
これでいいかな?
サンダルは耀子ママに買ってもらったのがあるし。
何て考えていたら。
『蘭花。今日、着替えるの遅くねぇ?』
雑誌を見ていた竜兄が言った。
選んだ服を着ながら答える。
「ん?あぁ。何着ようか考えて選んでたからねぇ。よしっ!どう?似合う?」
クルッと一回転して竜兄に見せニッコリ笑った。
『珍しいな。蘭花が着る服選ぶとか。いつも適当に引っ張り出してんだろ。どうしたんだ?』
だよねぇ~。
竜兄もやっぱり、そう思ってたんだよな。
「何かさ。昨日、デート行くのに何着ようか一瞬考えてさ。普通の女の子は、デートとかやっぱり着る服迷うのかな?とか好きな人に可愛いって言われる様に悩んだりするのかな?って思ってね。そう考えるとさ。私、今まで竜兄と出掛けるのにそう言う事、考えた事ないなって。いつも思い付きで出掛けたりするから、なおのこと。何か、女子力の無さを感じた。竜兄が可哀想。とか思って。だから、これからは少しは考えようと思った訳。」
説明すると、何故か竜兄はバッと立ち上がりガバッと抱き付いて来た。
何だ?
『…何かすげぇ嬉しいんですけど。可愛いな。蘭花は。まぁ。気付いたのが大和とのデートでって言うのは気にくわねぇけど。』
嬉しいのか?
「そう言うの嬉しい?」
竜兄を見上げ聞いてみた。
『蘭花が俺の為に色んな事考えてくれるのが嬉しい。蘭花はどんな格好でも可愛いぞ。』
優しく微笑む竜兄。
「私。いつも竜兄の事、考えてるよ。」
ギュ~と抱きついた。
最初のコメントを投稿しよう!