プロローグ《少女の独白》

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ーーー……ねえ、 新撰組って知ってる? 私もそんなに詳しくは知らないんだけどさ、幕末に生きた侍なんだって 新撰組、ラスト侍って言われてるんだけど、その響きが何だかカッコいいからちょっとだけ調べてみたの そしたら、何だか、切ない人達なんだなあって思った そう例えばーーー、沖田総司 彼は有名だよね、儚げで病弱なのに新撰組のなかでも最強な剣士 三段突きとか労核とか、彼はどこか人とは違ってて、その性為か孤独な陰が目立つ人だなって感じた そう例えばーーー、斎藤一 居合いを極めていて沖田総司にも劣らない剣術を持つ、静かな剣士 敬愛する人の屍を踏み、最期まで生きてしまった彼は一体どんな気持ちだったんだろうか そう例えばーーー、山崎丞 只の浪士の溜まり場だった新撰組の影として、汚い仕事も請け負った監察方 関西弁で人のよいと言われた彼は内心にどんな闇を抱えていたのだろう そう例えばーーー、土方歳三 新撰組を護り、上へとのし上げていくために汚い手も厭わずに自らが鬼となった副長 美男子と言われた彼の決意はきっと何よりも重い 他にもまだまだ新撰組には沢山人は居るけど、私はこの四人がどうしてか妙に気になった 私が助けてあげれたら、って思った ーーー彼が無念のままに死んだというなら私が彼の病を治しましょう ーーー彼が強さの為に孤独だというなら私が更なる強さに彼を屈服させてあげましょう ーーー彼が一人で汚れ、堕ちていくというなら私が代わりにその役目を背負いましょう ーーー彼が優しさの為に鬼となったというなら私が鬼をも超える修羅となりましょう ーーー嗚呼、嗚呼、泥臭く生にしがみつき自ら汚れていく彼等は、こんなにも尊く愛しいのに、 ーーー神よ、貴方はそれでもそんな彼等を見殺しにするとその高貴な瞳を揺らすことなくただただ非情に仰るのですか ーーー嗚呼、それならば、なんて世界は報われない
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