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ーーージリジリと焼き付けるような陽射しがあの頃の記憶を彷彿とさせる。
「あっちぃ…」
雲ひとつ無い恨めしい程の青空の下。
ゆっくりと見上げた俺の視線の先には、あの苦いような、甘酸っぱいようなー…
一生忘れることのないだろう、青春時代を過ごした学び舎がそびえ立つ。
「3年ぶりか…」
微かに聞こえる学生たちの声、その懐かしい風景を見上げながら、自然と零れた自分の言葉に、時の流れを痛感する。
ーーあれから3年
3年経った今なお、薄れずに確かに残るあの頃の記憶。
その記憶はむしろ、時が流れるにつれ、色濃く、鮮やかに、無情にも俺の心に重くのし掛かる。
まさか、こんな形で自分がここに帰ってくるとは思いもしなかった。
「…よし、行くか」
聞こえてくるチャイムの音にふと我に返れば、感傷に浸っていた自分に苦笑いを零し、その音に突き動かされるよう門をくぐった。
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