再会の夕暮れ

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ーー3年前 俺はお世辞にも真面目な生徒とは言えなかった。 緩くウェーブをかけ、透き通るような蜂蜜色に染まった髪。 耳には数個のピアスが光り、制服のネクタイは緩められ、もはやその機能を果たしていない。 この頃の俺は、複雑な家庭環境から、世の中に嫌悪し、自分の存在価値も、生きる意味もわからないまま、ただ自分の存在を証明していた。 心の闇を誰かに気付いてほしくて、この暗い世界から引き摺り出してほしくて… 非行に走ったのは無意識だった。 知らず知らずの内に、喧嘩や派手な容姿で目立つことでしか自分の存在を証明できなくなっていた。 そんなどうしようもない俺に、救いの手を差し伸べてくれたのは ーー紛れもない加賀見だった。
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