第1章

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 上ってすぐあの部屋を覗く。昨日の二の舞を避けるためにタバコはまだ吸わない。しかし部屋にはもうカーテンが掛かっていた。現実に打ちのめされた。結局はこうなるんだ。屋上のでっぱりに腰を下ろして今日もタバコをふかす。  今日一日のイベントを終了する。    3月23日    タバコをふかす。プカプカと漂う雲があの部屋に流れていく。俺の怨念だ。目で追いかけても、あの部屋は固有結界で守られている。  「はぁ?。」  ため息がタバコの煙と共に暗い夜空に舞い上がる。その雲が完全に消えるのを待ってからその部屋を見ると電気は消えていた。俺はタバコをもう一本吸うことにした。  現実との壁が厚すぎた。けど、なにかが起こるかもしれない。そんなことを楽しみたい。現実は小説より奇なりっていうだろ。そんな現実が欲しい。あんな経験があったとしても。手に入る直前で消えてしまった苛立ちが過去の出来事を凌駕していた。  「すーぅ。」  そこを一歩とどめる。これ以上いくと、ストーカーになりそうだった。誰も見ていないのに苦笑いをして、  今日一日のイベントを終了する  ……はずだった。        こつんっ  それは起きた。非常階段から足音が聞こえてくる。それは紛れもない現実だ。誰かがここに来ようとしている。  やばい。  やばいやばいやばいやばいやばい。  捕まる。強面の兄さんに捕まる。不法侵入に、未成年喫煙、双眼鏡所持によるプライバシー侵害に、もしかしたらストーカーまで…。どうしよう、どうしようどうしようどうしようどうしよう………『どうする?』  この屋上は真ん中付近に台形のでっぱりがあるだけで、本当になにもないところだ。しかも出入り口は一つしかない。この緊急事態を頭では想定していたものの、この場所のご利用は計画的ではなかった。あの2日前の感動がいま、後悔に変わる。    『さて、どうする?』    作戦1 でっぱりに隠れる。  「そこにいる人、でてきなさい。」  「………。」  ライトが辺りを照らし、やがて唯一の障害物に目が止まるだろう。  「そこに隠れている人、ゆっくり立ち上がりなさい。」  スポットライトが俺を照らし、拘束を余儀なくされた…。  『頭隠して尻隠さず』     ―GAME OVER―    ああ、だめだこれじゃあ。他に、他に武器はないのか。    作戦2 できるかぎり端のほうでノーマル技小さくなるを使う。
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